振り向きざまに |
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とても暑い日々がつづいた
体力気力も随分と消耗したな と思うと
追い立てるように夏は去ってゆく
また 大好きな季節は何事も無く去ってゆく
刺激を求めて熱さをどれだけ追いかけても
ページをめくるだけの薄っぺらな記憶しか残らない
やはり そんな夏だった
追いかけた太陽も角度を落とし
僕は落ちてくる汗を拭きながら海を見ている
振り向きざまに僕を見ていた
笑うことも無く表情も変えず見ていた
それが最後と感ずいたんだろうか
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壁 |
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話すことなんて何も無く
考える物事も何も無く
したい事さえ何も無い
この脱力感は夏の終わりのせいだろうか
10年のひと区切りもあっと言うまに過ぎ
足跡が消えている
角がとれてく自分も嫌いになって
何をして生きているのかよくわからない
道はあるのになぜ進まない
壁だ 分厚い壁
壁 壁
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一輪車の頃 |
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一輪車が道の脇の塀に停めてあった
あの夏
朝から晩まで乗ってたっけ
ぼんやりと浮かぶあの頃
ああ 麦わら帽子とせみの声
ぼんやりと浮かぶ
いっしよに過ごした夏
もう僕と過ごした時間のほうが短くなった
九月の暑さの中思い出にふけるよ
一番大切な時間なんだあの頃は
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ポケット |
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愛することってどう表現すればいいんだろう
どう言葉を使ってもどう体を使っても
出来たと思うことが無い
逢いたい 抱きしめたい
思いだけが先走る
きっと君もつらいだろ
逢いたいときに逢えないのはつらいさ
どんどんと変わって行く全てが
時というのは残酷だ
今でさえも過ぎてしまえばもう取り返しがきかない
もう一度戻りたいよ
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夏のリンク |
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思い出は九月
夏服の君がいた
遠くから僕を呼んでいた
走り出す君を思い出す
誰も愛さなければ傷つくこともないだろうに
ただ 抱きしめたい思いを抑えられなくて
別れがくることはわかっていたのに
とうとう写真だけの中になってしまった
暑かった夏は過ぎ
毎年その夏とリンクするのは
海と君だ
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